ライオンがいない沖縄になぜ?シーサーのルーツとは

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ライオンがいない沖縄になぜ?シーサーのルーツとは

沖縄に来た理由

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途方に暮れていた。

足を止めて思案にふける私を、目の前にある門柱に立つシーサーが見下ろしていた。いかつい顔の獅子像から目を逸らすと、深いため息をついた。

そう。私ホリスティックすし太郎は、沖縄にやって来たのだ。

 

目的はもちろん、沖縄でハブを捕まえて売りさばき、故郷に錦を飾ろう! というものである。数多のハブを捕まえた私は、いずれ沖縄の人から「ハブ捕り名人」と呼ばれるようになるだろう。するとおそらく、世界一有名なハブ名人の 永世名人 ハブ善治氏に「ハブ竜王戦」を挑むことになるだろう。

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そして長考が続く熱戦を制した私は、そのまま沖縄のマーケットに参入する。現在ブルーシールが独占している沖縄のアイス市場に、私が3年間考え抜いたアイス「ハブ・アイスクリーム」を携えて参戦、この南の島で鬨の声を上げる、という「うずく欲求」があったのだが、その夢は沖縄到着後まもなく、粉々に打ち砕かれた。

 

なんと沖縄では現在、ハブの買い取りをしていないそうだ。

現在も奄美や、島によっては2000円~5000円ほどで買い取ってくれる地域もあるそうだが、近年のモンハンブームのせいか、沖縄の若者を中心にハブの捕獲量が増加し、なんとハブ買い取り予算が尽きてしまった地域もあったそうだ。まさに仕事帰りに「ひと狩り行こうぜ!」状態である。

 

まだ3月だというのに、すでに熱気を帯び始めた沖縄の日差しが、脳内のハブ・アイスクリームを夢のように溶かしていった。

目的がなくなってしまった。さてどうしたものか。

日差しに追われ住宅地の日陰に入る。虚空を見つめる私を、向かいの建物の屋根からまた別のシーサーが静かに見下ろしていた。

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本当に沖縄にはシーサーが多い。しかもこちらのシーサーは先ほどの個体と顔が違う。そもそも、なぜライオンのいない沖縄に、獅子像がこれだけ土着しているのか?

そのとき私の脳裏に永世棋聖 ハブ善治 氏の言葉が蘇った。

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『追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ』

よし。シーサーのルーツだ。わからないならば調べてみよう。そこに沖縄に来た意味を見いだすのだ。

 

情報は足で掴め

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歩行者の増える夜を狙うため、一旦ホテルへ戻り、日が沈んでから再び那覇の街へと繰り出して行った。今日が曇りだったせいか星は見えず、国際通りに灯る多くのネオンが、とても眩しく見えた。情報が氾濫している現代において、ネットで調べられる情報などにさほど価値は無い。足で集める情報にこそ価値がある。そう信じて夜の国際通りを歩いていると、1人の男が声をかけてきた。

男性『お兄さん、どっか探してる?』

すし『シーサーに詳しい人物を探している…』

男性『あらっ!それならうちにシーサーに詳しい娘いるさ!ちょっと待ってて!』

そう言うと男は何やら無線でやり取りを始めた。

男性『じゃあついて来て!』

促されるまま男について行く。こういう時は直感に任せるのだ。

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『直感には邪念の入る余地がない』

これも永世棋王 ハブ善治氏の言葉だ。

 

男に案内された場所は、煌びやかな飲み屋だった。小さめのボックス席に座り、紫煙をくゆらせしばらくすると、1人の若い女性がやってきた。

 

『いらっしゃ〜い』

 

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人物紹介:M(顔出し、名前出しNG)

Mはとても美しい娘だった。かわいいというにはとても綺麗すぎる顔だ。沖縄らしいはっきりした顔立ちに、沖縄らしくない雪のような白い肌。細身で袖のないチャイナドレスを着ていた。

 

すし『早速だけど、シーサーについていろいろ聞きたいんだ』

M 『シーサー…って言っても私のオジイがシーサー作ってるってだけだから知ってること少ないかもしれないけど』

と言いながらMはシーサーについて知っていることを話してくれた。

シーサーというのは獅子が訛った呼び方のようで、起源は琉球王朝の時代まで遡るようだ。そして門柱や玄関に置く物と、屋根に置く物は種類が違うようで、屋根の物は一体の場合が多く、海ん人のお守りで、玄関や門柱の物は雌雄で対になっている場合が多く、その建物や家族へのお守りだそうだ。

しかしこれだけではライオンのいない沖縄に、シーサーが定着した説明にはならない。

くそ。外れか。

だがこういう時こそ永世王位 ハブ善治氏の言葉を思い出すのだ!!

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『一番いいと思えるものを簡単に

単純に考えることができれば

逆境からの突破口を見いだせる』

 

 
そうだ。いいと思えるものはいい! そう単純に考えるんだ!

 

自分の欲求に素直になれ

M『たしかに沖縄にはライオンなんていないけど、何をモデルにしたんだろうねぇ…』

少し笑みを浮かべたMはドレスのスリットを直しながらそう言った。しかしこのチャイナドレスってやつのスリットはエロい…チャイナ…ドレス…

 

そうか!!! 琉球王朝といえば現在の中国とも交易が盛んだった!

つまり獅子は中国から伝わったものなのだ!

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現代の中国にも獅子舞などが残っていることを考えれば自明の理である。

 

『わかったぞ!!』

興奮して思わず立ち上がってしまった私は、手に持っていたグラスの泡盛をこぼしてしまった。
やってしまった…

びしょ濡れになったテーブルを見て急激に冷静になっていく。

そうなのだ。
中国にもライオンなど存在しない…

ではどこから?? 私は再び思考の波に呑まれていった。

 

M『大丈夫?いきなり立つからびっくりしたさ!』

そう言いながらテーブルを拭くMは、ドレスの構造上、脇が露わになっていた。少し覗いている光沢のある布はブラだろうか。やはりこういう所で働く娘は高そうな下着を着けている。

あの素材はおそらく…シルク…だと…!?

 

そうか!!!
シルク…シルクロードか!!!

ライオンはシルクロードを伝わって中国に来たのだ!!

ではどこから? シルクロード沿いの国など私が知るだけでも数多く存在していた。

 

すし『すまない…少し飲みすぎたみたいだ…』

M 『気にしないで!大丈夫よ〜』

座りながら前かがみでテーブルを拭くMは、タイトなドレスのせいかヒップラインが強調されていた。シークワーサーのように小ぶりで、なかなかいいおしりだ。

…待てよ…

おしり…おし…り…お…り…おり…オリ…

 

そうか!!! 古代オリエント文化か!!!

 

古代オリエント、つまりエジプトだ!

紀元前のエジプトやインドは、ライオンがたくさん生息していた。 しかもエジプトではライオンを「権力」や「強さ」「永遠」などの象徴として王家の紋章にしていたほどだ。

そこからシルクロードを伝い、海を渡り、獅子像が「権力」や「王家」の象徴として、道の途中で少しずつ姿を変えながら、遥か7000キロも離れた国からやって来たのだ。

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沖縄で愛されるシーサーは、なんと悠久な旅路を経てやってきたのだろうか。

 

つまりはスフィンクスが遠い先祖にあたり、中国の獅子舞や日本の狛犬が親戚ということになるのだ。

 

 

日本の歴史よりも古くに発生した文化が、時代、国境を越えて沖縄にやってきていたとは、何とも人間の歴史の雄大さには畏敬の念を禁じ得ない。

 

 

 

Mに礼を言うと、私は店をあとにした。

 

 

 

外へ出ると、生暖かい風が頬を撫でた。

 

先ほど雲に覆われていた空には、少し欠けた月が浮かんでいる。

 

まるでさっきのおしりのようだ

 

 

私はそんなことを考えながら、月影とネオンで満たされた夜の街に消えていった。

 

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